『友人の絵』

友人が何回目かの油彩展を開いた。
兵庫西宮・夙川の閑静な住宅街の一角にあるギャラリーだった。

私は彼の絵が大好である。
構成がいい。色づかいが素晴らしい。タッチが好い。



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                  「群像 平和へのバトン」(100号F)


彼は美術系の大学を出て、大阪の私立の高校の美術の教師になった。
私は学生時代から彼の絵の才能に素晴らしいものを感じていたから、
当然、画家になると思っていた。

しかし、当時、彼が教師の道を選んだ時、正直なところ私はびっくりした。


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それは、学生の頃から公募展にも出品をし、何度も入選を果たしていたし、
大学関係者や周りの者からも将来を嘱望されていた。
日本の画家の団体の一つである「新制作協会」の設立にかかわった故小磯良平氏からも、
「あなたは、ぜひ絵の道へ進みなさい。」とも云われていたことを知っていたからである。



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                     「群像 2014調和」(100号M)


日本を代表する洋画家の大御所に才能を認められたなら、
私ならどうしていただろう。
当然ながら、有頂天になって画家への道を選んでいたに違いない(笑)。

しかし、彼は画家へはならなかった。
画家として著名になれるのは、ごく一握りの人たちだと云うことを知っていたのかもしれない。
絵筆一本で生活の基盤を築くのは並大抵のことではない。
自分として絵の才能を客観的に冷静に見ていたのだろうか。
小磯良平氏に画家への道を選ばなかったことを、どう弁明したのかは聞いてはいない。



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                 「ハンガリーにて、白鳥のいる運河(8号F)  


高校の美術の教師として指導者の道を選んだ彼は、
教師としての務めを定年まで勤め上げた。
ごく普通にと、彼は云う。

しかし、教師仲間の間では、素晴らしい指導者だと云う評判を何度も聞いた。
教え子たちの中には、イラストレイターやデザイン系のコディネーターとして第一線で大活躍している人たちがいっぱいいる。



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                      「甲斐駒ヶ岳」(10号F)


彼の絵を見て、心癒され、励まされ、生きる喜びを感じる人は沢山いるはず。
私だけでは決してないはずである。

人にはそれぞれの人生がある。
なにも一流の画家だけがすべてでもなかろう。



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                       「御嶽山」(10号F)



彼の絵は、私の家にも何枚かある。

そのうちの一枚が、「K-2遠望」(50号)だ。
2006年、パキスタン・カラコルム山塊の「スキルブルム峰」(7,360㍍)へ遠征した折、
彼も同道した。
バルトロ氷河を一週間かけて遡行し、コンコルディアと云う氷河上のベースキャンプ地へ着く。
そこは世界第二の標高を誇る「K-2」の威容を見ることが出来る感動的なビューポイントだ。
私にとっては忘れられない光景。



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                   (拡大して見てください迫力充分!)


そこからの風景、「スキルブルム峰」の東に位置する「Kー2峰」(8,611㍍)を、私のために描いてくれた。

この春、築50年の平屋の家を全面リモデルして、
365日が日曜日の閑人は、友人・知人たちとワイワイ、ガヤガヤ、楽しく集えるように趣味のプライベート・ギャラリーをつくった。 第一回目のテーマは「山」だ。
その、ど真ん中に飾っている。



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                       「K-2遠望」(50号F)


次の絵は、45年前彼が私ども夫婦の結婚の祝いにプレゼントしてくれたもの。
1968年の「新制作展」公募に出展し入選した100号三部作のひとつ。

三部作の中からふたりの一番好きな絵を選ばせてもらった。
思い出の絵である。



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                      「若い群像」(100号F)

その画風は少し変わったが、いまも大切にダイニングルームの壁に飾ってある。



今回、画廊を訪ねたとき、彼は、
「今、絵を描くことに心がすごく高ぶっている。とても嬉しい。」と云っていた。
70歳を過ぎてもこの制作意欲は凄いと思った。

指導者としての立場を離れ、今は悠々自適。
思いのままの絵の制作が出来る立場と環境だ。

トップに載せた100号の「群像 平和へのバトン」は、今年地元の西宮市展で入選した作品。

これからは、もっとメジャーな公募展へ出品して大いに楽しんで欲しい。
彼の本領発揮はこれからだと思う。
そして、絵を描くことに年齢などは関係ないと思っているから・・・。


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この記事へのコメント

2014年09月19日 06:30
小磯良平さんの筆致に似た透明感のある絵ですね。
昭和40年代、神奈川県逗子市の小磯良平さんのお宅へお邪魔したことがあります。
本宅は神戸だったと思いますが、東京芸大の教授でしたから、週の半分は逗子で過ごされていたようです。
2014年09月19日 20:36
bt9さん、こんばんは。
コメント有難うございます。
確かに透明感のある絵ですね。私は直接小磯先生氏にはお目にかかったことはありませんが、彼は展覧会の批評会などでよく会っていたようです。もう随分昔の話ですね(笑)。
2014年09月22日 00:08
御友人は、素晴らしい指導者の才能と、芸術(絵画)の才能を、授かっておられるのですね。 羨ましい限りです!

これから、ますますご活躍なさることでしょうね。
2014年09月22日 19:13
mugenさん、こんばんは。
コメント有難うございます。
私は画家の道を選んでいても素晴らしい画家になっていたと思いますよ。こういう才能の持ち主はうらやましいですね。これからも期待しているのです。
また、お越しください。