アーカイブ 『 「梅花空木」 』

毎年、この季節になると悲しい思い出を呼び起こす花があります。
5年前の今日、2009年6月9日 の記事から・・・・。



白い花って、いいものですね。
「梅花空木(バイカウツギ)」が咲きました。



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ユキノシタ科の植物には、「空木(ウツギ)」の花で代表されるように、
「ウツギ」と名の付く落葉低木がいくつかあります。

この「バイカウツギ」もその一つ。
“梅の花に似た、茎が空洞になった木(空ろ木)”が名の由来と云います。

花弁の数こそちがいますが、梅の花に似て芳香が漂っています。
しっとりと落ち着いていて、大人の雰囲気です。



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でも、この花を見るたびに、
1963年の冬山の悲しい出来事を思い出します。

年が明けた1月、突然の大雪は山岳地帯も大荒れとなり予想以上の積雪で、
日本各地の山での遭難事故が相次ぎました。
中でも中央アルプス「空木岳」での出来事は、当時親交のあった他大学の山岳部パーティ
の悲しい死でした。
頂上直下の冬の稜線で救援を待ちわびながら必死に生きようとした悲しい出来事。
後に、雪洞の中で家族や友人達へ書き綴った遺書ともとれるメモから、一週間も生き続けていたことが分ったのです。

遭難の全容が明らかになるにつけ、
寒さの中で生き抜こうと一生懸命だったに違いありません。
もうどうすることも出来なくなった時の絶望的な空しさ、苦しみ、悔しさ、無念さ、悲しみは、
想像を絶するものがあったろうと、
山を同じく愛する同志として、当時は自分事のように、
救援することさえ出来なかった悔しさと共に、
心に大きな穴があいたように虚無感に襲われたことを覚えています。

あれから46年がたちました。
心に残った、あの悲しい記憶は消えることはありません。
今でも、どうしても花の名前と山の名前が重なるのです。



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私にとっては、いつまでも悲しい思い出を手繰り寄せる花ですが、
汚れのない純白の花は香りを仄かに漂わせながら、
この季節になると、ずうっといつまでも人の心を癒し続けてくれる花であるに違いありません。


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